認知症予防のカギは腸内細菌にあり!
50代から食べるべき9品目の食品とは?

私たちは誰でも、年齢を重ねるごとに、もの忘れが増えたり、人の名前が思い出せなくなったりします。これは脳の老化によるものですが、それが極端に表現されると認知症になります。加齢とともに通常でも神経細胞は死んでいきますが、認知症においては、認知機能に関与する特定の神経細胞が何らかの原因で大量に死んでいくために生じる病気です。従って軽症の場合は通常の老化との差が明瞭でない場合もあります。

認知症を予防するには、脳だけに注意すればよいわけではありません。実は、腸には脊髄と同じ程度の約5億個の神経細胞が存在しているといわれ、腸と脳はこれらの神経細胞を介して繋がっています。そして、脳から腸だけでなく、腸から脳へも情報が伝わることがわかってきています。最近では腸内細菌が腸を介して脳に影響を与えていることも指摘され始めているため、腸の健康を決しておろそかにしてはなりません。
なかでも気をつけたいのが食事です。腸の中の細菌を活発にしてくれるのは「食物」であることから、「どんな食品を摂るか」という視点がとても大切です。

本稿では、『医者が教える長生きのコツ』『佐古田式養生で120歳まで生きる する・しない健康法』などの著書をもつ、佐古田三郎先生(医療法人篤友会 オーガニッククリニック院長)に、腸の健康と認知症予防に役立つ食習慣を教えてもらいました。知って、実践して、イキイキとした毎日を送りましょう!

免疫細胞の約60%が存在する腸を整えて、認知症を予防しよう

腸には、病気から身を守る免疫細胞の約60%が存在すると言われており、腸の健康は全身の健康の要。いわば、腸は健康を守る「関所」のようなものなのです。

不調は急に体に現れるのではありません。食習慣をはじめとする普段の生活習慣が、じわじわと影響を与えているのです。言い換えると「日常の中に不調の原因がある」のです。まずは、認知症に悩まされないための基本の予防法をおさらいしておきましょう。

予防法1:精製糖質を摂り過ぎないこと!

認知症は、脳の中でインスリンが正常に働かなくなることが原因の一つだと言われています。この点をふまえると、インスリンに悪影響を及ぼす砂糖や、砂糖がたくさん含まれるパンや菓子類などといった、精製された糖質の過剰摂取は食後高血糖を引き起こすので控えることが大切です。

予防法2:腸内環境を考えた食事・生活をすること!

多種多様な細菌が食材を分解してできた発酵食品には、生体調節・生体防御・疾病予防・回復・老化制御に働く食品成分(バイオジェニックス)が含まれています。毎日の生活で発酵食品の摂取を心がけましょう。

また、根菜類に含まれる食物繊維をたっぷりと食べることも大切です。腸内の有用な菌たちは、体内に取り込まれた食物繊維を分解しながら繁殖していきます。繊維質の多い食品を摂るには、玄米、雑穀類、そばなどの未精製の穀類や、根菜、海藻などが適しています。

食事を改善することは、腸内環境を改善し、免疫の低下を防ぎ、さらには心のバランスを整えることにもつながります。

食生活に加えて、睡眠も健康な生活を送るための大事なポイントです。体調不良の人には睡眠に問題を抱えている場合が多く、特に注意したいのが睡眠時無呼吸によるストレス。不眠・睡眠不良だけでなく、認知症の進行につながる可能性があるため見逃してはなりません。

約束は6つだけ!
認知症予防のために心がけると良い食生活

佐古田先生が推奨する生活習慣は、正しく食べて、寝て、自然と共生しながら過ごすこと。ここでは、気軽に取り入れやすい食事方法をご紹介します。


1:朝ごはんをパンからごはんに変える

一般の食パンは精製した小麦粉を使用していていますので、消化吸収が速いのです。ゆっくりと消化できるごはんへ。玄米も取り入れる。

2:生野菜のサラダより温野菜がベター

植物の栄養をたっぷりと取り入れるためには、キャベツ、ダイコン、小松菜、ブロッコリー、白菜などのアブラナ科の野菜がおすすめ。イモ類、ゴボウ、蓮根、人参なども積極的に。温野菜(ゆっくり火を入れる)にして摂ると、野菜に適度な負荷が与えられ、ポリフェノールなどの栄養素を引き出す効果が期待できる。

3:発酵食品を積極的に摂る

多様な菌と共生することが腸の健康に重要。多種多様な菌で発酵された味噌やヨーグルトがおすすめ。

4:肉よりも魚を優先して食べる

不飽和脂肪酸が多く含まれる、サバ、アジ、サンマ、イワシを。

5:おやつは季節の果物やドライフルーツ

精製された砂糖よりも、自然な甘さを取り入れられる果物やドライフルーツをおやつに。三度の食事の間にお菓子や甘いジュースなどを口にすることが多い人は、気をつけましょう。

6:おなかが空いたら食べる

おなかが空いていないのに「時間だから食べなきゃ」、と食事をしてしまう習慣を減らし、おなかが空いたから食べるという自然のリズムを取り戻すことを。

これだけ覚えておこう! 認知症予防に有効な食品9品目

理論も大切ですが、まずは行動してみる!という視点も大切です。これから紹介する食品は、どれも気軽に取り入れられるものばかり。この8つの食材を覚えておけば、あれこれと難しく考えなくても大丈夫です。






味噌 腸に作用する発酵食品。味噌汁にして、野菜や海藻を加えると◎。

雑穀 五穀米、押し麦、玄米などがおすすめ。食物繊維と栄養が豊富。

大麦 水溶性食物繊維が豊富。食物繊維はなんと、白米の約20倍!

十割そば めん類を食べたいときは、日本そばをチョイス。小麦粉を加えていないものがおすすめ。

根菜 レタスやトマトより、自然のパワーがギュッと詰まった根菜を。

海藻 腸内細菌のエサになる食物繊維がたっぷり。

豆乳 大豆のおいしさと栄養を凝縮。

サバ・アジ 不飽和脂肪酸が多く含まれる光り物がおすすめ。缶詰でもOK。

きのこ 食物繊維が豊富で、ビタミンDなどの栄養素も。旬を迎える秋に食べるのがおすすめ。

「する・しない」を意識して、未来への貯金を増やしましょう

前述した食材との相乗効果を高めるのが、「する・しない」という食生活。何を食べるかだけでなく、「どんな風に食べるか」も大事なのです。
        
する しない
食物繊維の多い野菜から食べ始める 小麦などの食材からは食べ始めない
「腹八分目」の食事をゆっくりと食べる ガツガツとおなかいっぱいまで食べない
間食や夜食を減らし、3食のリズムを整える 夜遅い時間には食べものを口にしない
体調が悪い時は、食べる前に静かに横になる 風邪などで体調がすぐれないと感じたら、食べものを口にしない
大事なことは、日常生活で軽視していたことに気づく視点を持つことや、できることから改善していく気持ちを持つこと。例えば、外食が重なって不摂生になりがちなときは間食を減らしたり、食べるものを意識したり、早寝早起きを心掛けたりと、普段から健康の「貯金」を増やしておくことが大切なのです。難しく考えなくても大丈夫です。簡単なことから始めてみて、未来の元気を手に入れましょう。

監修 - 佐古田 三郎(さこた さぶろう)

医療法人篤友会「オーガニッククリニック」院長。大阪大学名誉教授。パーキンソン病を中心とした神経変性疾患、多発性硬化症などの免疫疾患を専門としつつ、既成の診療科の枠にとらわれない身体全体にアプローチした病態の解明、薬に頼らない治療法、日常の食事や睡眠などを重視した養生法のあり方などについて幅広く研究。


   
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