
目次
- 血管病での死亡率はがんに匹敵する
- あなたの血管は健康?「カチカチ血管チェック」
- 血管の長さは地球の2周半分もある
- 強い血圧で血管がカチカチに
- 動脈硬化はさまざまな病気を引き起こす
- カチカチ血管で生活習慣病が悪化する
- 健康診断でわからない血管の問題も
「血管」にいいこと、してますか?
血液をサラサラにするため、食事に気をつけていても、血管を意識した生活をしている人は少ないかもしれません。
しかし専門家によると、血管を健康に保つことは、血液サラサラよりも重要と言われるほど。
血管がカチカチに硬くなると、さまざまな病気を引き起こし、さらには命の危険にもつながります。
血管と健康や病気との関係を、循環器専門医の杉岡充爾先生(すぎおかクリニック院長・医学博士)に伺いました。
血管病での死亡率はがんに匹敵する

血管が詰まったり、破裂して救急搬送されたとき、患者の家族が「昨日まではあんなに元気だったのに」と驚くことがとても多いそうです。
血管病は「沈黙の病気」とも言われ、自覚がないまま進行します。
命に関わることなのに、体内での変化、老化に気づいていない人が多いのです。
そして、異変に気づく頃になると、体がかなりのダメージを負っているのが血管病の恐ろしさです。
日本人の死亡率の第一は「がん」(悪性新生物)で、その割合は24.6%。
一方、第2位の「心疾患」と、第4位の「脳血管疾患」は、いずれも血管が原因の病気です。
この2つを合わせると、その割合は21.7%になり、がんに匹敵しています※。
(※厚生労働省「人口動態統計」2022年)
しかもがんは見つかってから治療が続くケースが多くありますが、血管病はある日突然バッタリと倒れ、命を奪っていくことが多いのです。
がんに負けず劣らず恐ろしい血管病ですが、着目したいのが“予防しやすい”ということ。
日々の生活習慣を整え、メンテナンスをしておけば、確実に防ぐことができるのです。
あなたの血管は健康?「カチカチ血管チェック」

すでにあなたの体内で、血管の変化が起こっているかもしれません。
血管の状態を判断する「カチカチ血管チェック」※ を行ってみましょう。
以下の設問で当てはまる項目はいくつありますか?
□ 以前と比べ、体重が増加している
□ お腹が出てきたのが気になる
□ 食事時間が短い
□ パンやパスタが好き
□ 魚はあまり食べない
□ カロリーが高いから肉をあまり食べない
□ 野菜をあまり食べない
□ 外食が多い
□ ファストフードやコンビニをよく利用する
□ 酒をよく飲む方だ
□ タバコを吸っている
□ お風呂はシャワーで済ます
□ 便秘がち。または下痢が多い
□ あまり歩かない、体を使う機会が少ない
□ 体が硬い
□ 生活が不規則
□ ストレスがとても多い
□ 睡眠時間は短い方だ
□ 怒りを感じることが多い
□ 毎日とても忙しい
□ 責任感が強い方だ
□ 自分は病気にならないと思っている
【診断結果】
血管はまだ健康なようです。いまの生活を維持して、しなやかな血管を保ちましょう。
6~10個
血管の老化が始まっているようです。生活習慣を変えて血管を健康にしていきましょう。
11~15個
血管はかなり危険です。生活習慣を整え、今すぐ血管強化に取り組みましょう。
16個以上
血管はいわば爆発寸前の状態です。すぐに生活全般を見直し、カチカチ血管の改善に取り組んでください。
※杉岡充爾先生作成
血管の長さは地球の2周半分もある

血管が命に関わるのは、全身の細胞の健康を支えているためです。
血管の働きといえば、基本的に血液を流すこと。血液は「動脈」を通って、体に必要な酸素や栄養を運びます。
そして「静脈」で体に不要な二酸化炭素や老廃物を回収し、血液をきれいにする器官に届けて、心臓まで戻ります。
動脈と静脈は「毛細血管」で結ばれており、これが血管の90%以上を占めています。
すべての血管を合わせた長さは約10万キロメートル。なんと地球を2周半もする長さがあります。こんなにも長い血管が私たちの体内にあるなんて、ちょっと想像できませんね。

こんなに血管が長いのは、全身に数十兆個もある細胞の1つ1つとつながっているためです。地球2周半分もの血管の状態は、細胞の健康を大きく左右します。
血管は太くなったり、細くなったり、自在に形を変えることで、栄養素などを全身に運びます。
ですから、血管は弾力性があり、しなやかでなければいけません。カチカチに硬くなると、血液をうまく運べなくなります。
つまり、血液が栄養豊富でサラサラでも、血管の状態が悪ければ、全身の細胞には届かないのです。そして、さまざまな不調や病気につながっていきます。
血管は一度硬くなるとなかなか元に戻らないため、日々の生活で血管をやわらかくしなやかに保ち続けることが重要です。
強い血圧で血管がカチカチに
血液は、心臓の鼓動とともに、1分間で約5リットルもの量を全身にめぐらせています。
そのため、動脈には常に衝撃が加わっています。

血管がやわらかいと、この衝撃を吸収できますが、血管が硬いと、血管の壁に大きな衝撃があり、血圧が上昇します。
血圧が高くなると、血管がさらに硬くなっていきます。
ちなみに、静脈には衝撃が加わることはありません。そのため、カチカチになるのは動脈だけ=「動脈硬化」となるのです。
動脈硬化が起こるには、以下のような要因があります。
【カチカチ血管になる要因】
- ・栄養の偏った食生活
- ・喫煙
- ・肥満
- ・運動不足
- ・高血圧など、血管に影響を及ぼす病気
- ・加齢
心当りはありませんか?
動脈硬化はさまざまな病気を引き起こす

動脈硬化を起こした血管で多いのが、悪玉コレステロールなどが付着し、プラークという塊ができた状態です。
プラークがたまると血管が狭くなり、血流が悪くなります。
また、プラークが破裂すると、血栓(血の塊)となって血管に詰まり、血流を止めてしまうことも。

動脈硬化が引き起こす、突然死にもつながる病気には以下のようなものがあります。
プラークで狭くなった血管は詰まりやすい状態です。そこに、血栓が詰まると、血流が悪くなったり、ストップします。
・脳:脳梗塞
・心臓:心筋梗塞、狭心症
【血管が破れる】
硬くもろくなった血管は、血圧に耐えきれず破れることにも。
・脳:脳出血、くも膜下出血
・心臓付近(胸部、腹部):大動脈瘤破裂
足で血管がつまる「閉塞(へいそく)性動脈硬化症」では、下肢の切断につながることもあります。
また、目の血管がつまる「糖尿病網膜症」では失明に至ることも。
つまり、動脈硬化を起こしたカチカチ血管は、全身で危険な病気を引き起こしていくのです。
カチカチ血管で生活習慣病が悪化する

また、カチカチ血管は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、認知症を悪化させる要因にもなります。
【高血圧】
硬く狭い血管で血圧が高くなる
血管がカチカチで狭くなっていると、強い力で押さなければ血液が流れず、血圧が高くなります。そして血圧が高いと、血管はさらに硬くなります。
つまり、カチカチ血管は高血圧を引き起こすと共に、高血圧がカチカチ血管を悪化させるのです。
【糖尿病】
失明や手足の切断にも
糖尿病では血管にプラークができやすく、動脈硬化が悪化します。すると、さまざまな合併症を引き起こすことにも。
目の「網膜症」、腎臓の「腎症」、手足の「神経障害」は、3大合併症と呼ばれています。
それぞれ、失明、人工透析、手足の切断といった、恐ろしい症状につながります。

【認知症】
脳梗塞や脳出血で認知機能が失われる
カチカチ血管になると、脳梗塞や脳出血が起こりやすくなります。
梗塞や出血は、脳の中で小規模に起こり、自覚症状がない場合が多くあります。
そのたびに脳の認知機能が失われて「脳血管性認知症」が進むのです。
認知症の2割は、血管が原因ともされています。
健康診断でわからない血管の問題も

血管が大切なのはわかったけれど、自分は健康診断で問題ないので、生活習慣を変える必要はない、と思っている人もいるかもしれません。
しかし、健康診断には現れない血管の症状もあります。
【血圧】
病院で血圧を測ったとき正常でも、安心できません。朝晩に血圧が上がる「早朝高血圧」や、「夜間高血圧」といった症状もあります。
【血糖値】
健康診断では、血糖値を空腹の状態で測ります。この「空腹時血糖値」は正常でも、食後の血糖値が急激に上がることは珍しくありません。
【中性脂肪】
中性脂肪は、空腹時の測定値は正常でも、食後に異常に増加する人がいます。
つまり、健康診断では問題がなくても、食生活や喫煙習慣、運動不足などの自覚がある人は、カチカチ血管になっている可能性があるのです。
命の危機を引き起こすことにならないよう、日々の生活を整えて、やわらかく、しなやかな血管を保っていきましょう。